RUNT OM 50th Anniversary ルントオム50周年

RUNT OM

もともとスウェーデンで量産品として売られていた「ルントオム」を、
日本で製造、販売し始めて50年。
しかしこの間、私たちは単に生産を続けていたわけではありません。
北欧のクラフトマン気質を持つスチウレ氏と私たちは、
より良いものを追求する情熱が一致していたことから
ルントオムに何度もリデザインを施し、
つねに完成度を高め続けてきたのです。

人気の理由は、すぐれた機能を備えながらデザインがシンプルで美しいこと。
これはスチウレ・エング氏の形態と機能についての熱心な研究の成果です。
特に笠木部分に大きな特長があります。

人の背中に沿ってやわらかくカーブした笠木は、
アームと一体化した構造。
肘として十分に機能しながらも立ち座りに邪魔にならない形状です。
掃除のときアームを使ってテーブルに掛けたり、
片付けたいときスタッキングしておけることから
公共空間などにも数多く納入されています。

ルントオムの主な変遷

1. 港町「マルモ」の名をもらって。

当社の創業者が「これは日本でも売れる!」と閃いたその椅子は、スウェーデンのDIYショップに並んでいました。1973年のことです。デザイナーのスチウレ氏に会って提案したところ、彼は快諾し協力を約束してくれました。さっそく図面通りにつくり、スウェーデンの港町から「マルモ」と名付けて販売。

しかしなぜか、思うように売れません。スチウレ氏はすぐに来日し、一緒に百貨店の家具売場などを回ってどうしたらいいか知恵を絞りました。

そして「今の製品には高級感、上質感が足りない。もっと手をかけてクラフトマンシップが漂うものにしよう」ということになり、さっそく工場で試作を始めたのです。

角ばっていたアームや脚を削ってなめらかにし、全体に丸みを帯びたものに。予想は当たり繊細な感覚を持つ日本人に注目され、「マルモ」は売れ始めました。

2. 座の“へたり”をどうするか。

発売開始から2年が過ぎた頃、張り地でくるんだ座のクッションが“へたり”やすいことがわかってきました。当時のウレタンの質は正直まだまだで、ウレタンだけでもたせる構造のこの椅子ではどうしても力がなくなり易いのです。

再び来日するスチウレ氏。そこで出たアイデアが、現在の円盤型の座のもととなった枠です。座の周囲を木枠にし、中のウレタンを硬めのものに変えることで弾力を長持ちさせられると考えたのです。

その後座枠は見た目を軽快にするためと、腰掛けたときに服の裏側が当たらないよう厚みを減らすという変更をして、今の形に落ち着きました。このとき名前も、円を表す「ルントオム」に変わったのです。

3. 後ろ脚がはずれる?!

売れ始めると心配なのがクレームです。恐れていたことは、後ろ脚の“ほぞ”で発生しました。もっとも体重のかかるこの部分がはずれるのです。

再びスチウレ氏と相談し、日本の伝統技法である“地獄ほぞ”を使うことになりました。これは差し込んだ材が中で広がり、その名の通り2度と抜けなくなるというもの。本来手仕事の分野ですが、ある程度の量をつくろうとすれば機械化が欠かせません。私たちは機械を工夫することに力を注ぎました。

そうして「ルントオム」はシンプルで軽快なのに、実にがっちりした椅子に生まれ変わったのです。ちなみにこの技術は、その後さまざまな製品に活用されるようになりました。

4. 木材を無駄にしない加工法を探して。

生産面における改良も、何度も行っています。その中でも大きかったのが、材料の無駄をなくす改良。有限な森林資源を使って家具をつくる以上、できるだけ捨てる部分が出ないようにするのは当然です。当時もったいない使い方をしていたのは笠木。これを削り出すには実に半分以上の材を捨てることになります。

そこで私たちは、成型技術を応用しました。まず1.5mm厚さに裂いた板を重ねて成型してみましたが、前面の木目がまだらになって美しくありませんでした。

そこで今度は、一本の材料を4mm厚さで裂いてもとのように重ね、独自の成型技術で曲げてみるとこれが成功しました。木の質感がそのまま生きた笠木が完成したのです。さっそく後ろ脚にも同じ技術を採用しました。

スチウレ・エング氏

1934年
スウェーデンに生まれる。
1950年代

家具職人を目指し作品制作を行う中、カール・マルムステン(※1)教授に出会う。氏の創設した学校、カペラゴーデン(※2)のサマーコースの講師を務める。

※1 Carl Malmsten カール・マルムステン:1888年生まれ。スウェーデン近代木工の祖とも呼ばれ、多数の家具を残したインテリア・デザイナー。スウェーデンの生活に根ざしている家具デザイン、制作を行い、1916年に制作したStadhusstolen(市庁舎の椅子)で名声を得る。

※2 Capellagarden カペラゴーデン手芸工芸学校:1958年カール・マルムステンにより創設され、現在スウェーデン(北欧)で木工を学ぶ場合の最高峰の学校。家具インテリアデザイン(木工)科、テキスタイル(織物・染色)科、セラミック(陶芸)科、ガーデニング(園芸)科の四種類の科がある。

1960〜
65年代前半

コンストファク(※1)で家具デザインとインテリアデザインを学ぶ。この時期、川上信二・玲子夫妻(※2)に出会い、互いの経験に触発されながら学ぶ。

※1 Konstfackolan コンストファク:1844年に創設された国立の美術大学。ストックホルムにあり、芸術・クラフト・デザインを学ぶ。スウェーデン国内の美術学校の最高学府として多くのクリエーターを輩出。

※2 川上信二:家具デザイナー、川上玲子:インテリア・テキスタイルデザイナー。

1967年
Sture Eng建築事務所開設。同年Konstfackskolanの教職を得、2年続ける。
1973年

川上夫妻の紹介で事務所に日本人学生、中村昇(※)氏を迎える。コペンハーゲンの家具博覧会にてインテリアセンター(現・カンディハウス)の創設者、長原實と出会い、ルントオムの日本での商品開発について語る。

※ 中村昇:1938年生まれ。北海道出身の家具デザイナー。Furniture Design Nacka主宰。カンディハウスの主軸製品を数多くデザイン。

1970年代
後半
川上氏との相互の行き来によって、日本・スウェーデン間のネットワークが広がり、川上氏と協力のもとE&K Designers(Eng&Kawakami)を立ち上げる。
1980年代

E&KDesignersの設立後、度々来日し、その活動の中でブルーノ・マットソン(※)と㈱天童木工との協力関係の構築を手助けする。自身もまた多くの企業(㈱コトブキなど)との関係を結ぶ。

※ Bruno Mathsson ブルーノ・マットソン:1907年スウェーデン生まれ。スウェーデンが誇る世界的な家具デザイナー。日本でも日本人の体型、生活に考慮した数々の製品を多数発表。1981年にはスウェーデン政府よりプロフェッサーの称号を受けている。

1987年

オフィスや公共空間に向けた家具デザインの指向が深まり、キナップス社(※)においてコレクションを発表する。

※ Kinnarps キナップス社:1942年創業。北欧\4カ国で最大のオフィス家具はメーカーで、世界30ヶ国以上に150ヶ所の販売拠点を持ち営業展開を行っている。

1997年

ストックホルム王立工科大学(※)建築学科の客員教授として招請をうける。

※ KTH ストックホルム王立工科大学:1827年に創立された歴史ある伝統校。CLUSTERやCATA、TIMEEなどの国際的な大学ネットワークに数多く加盟し、積極的に国際交流活動を展開しているほか、企業との共同研究も盛んに行う。

2003年
カンディハウスとのコラボレーションによる新作チェアー「デリーン」を発表。
2007年
カンディハウスにて「ライナス」シリーズを発表。

It start with a sketch pad.

That initial sketching must determine, whether come up of good ideas, to be as a work plan.

To try find a design language or to express a particular form.

One of the idea (that I feel must interesting ) I now want to drawn in scale 1:1 also by hand, to be able to assess dimensions et cetera.

I make a modell in scale 1:10.

Then, the first simpel working modell in 1:1 at my studio på Narvavägen.

But something that must not be forgotten is that a close confidentian collabroation with te factory´s model department.

施工事例

鮨 いその

Architecture: 五十嵐淳建築設計事務所
Photography: 佐々木 育弥

株式会社ドボク管理 本社社屋

Architecture: 株式会社エスエーデザインオフィス一級建築士事務所
Photography: 佐々木 育弥

高砂市立図書館

Photography: スターリン エレメンドルフ

社会福祉法人 天光会 ケアタウン くらなが

紀の國建設株式会社

住宅型老人ホーム きさらぎホーム大井館

釧路トヨタ クレイン鳥取大通り店

旭川観光物産情報センター

人づくり一本木基金

ルントオムは、「人づくり一本木基金」により
ものづくりを目ざす若者を応援しています。

ルントオムのデザイナー、スチウレ・エング氏と、カンディハウスの創業者である長原實氏が、ものづくりを目指す人たちへの支援を目的に2015年に創設された基金です。毎年、スチウレ・エング氏がデザインした家具のロイヤリティが寄付されており、公益財団法人北海道文化財団により「奨学援助」、「海外研修支援」、「顕彰」、「セミナー等の開催」の4つの事業が展開されています。

CondeHouse Webサイトへ